今年に入って早々に応用情報技術者試験と高度試験の統廃合について報道され、資格取得を目指すエンジニアの間で騒動になっていました。
当時は経済産業省の検討案の内容を日経クロステックが報じているのみでしたが、3月31日にIPAから公式発表がされました。

試験制度の見直しとして、下記の5点が挙げられていました。
- データマネジメント試験(仮称)の新設
- ITパスポート試験の出題構成の変更
- プロフェッショナルデジタルスキル試験(仮称)の新設
- 情報セキュリティマネジメント試験と基本情報技術者試験の一部変更
- 情報処理安全確保支援士試験の一部変更
この5点についての概要と私の意見を述べます。
プロフェッショナルデジタルスキル試験の新設
この試験制度は新設というよりも、応用情報技術者試験と高度試験を統廃合するという点で物議を醸しておりました。
なぜ統廃合するかという理由については、応用情報の午後試験が選択科目制であるため同じ合格者でも知識に偏りがあることや、応用情報の合格後に高度試験に進む人が少ないこと、1つのジャンルだけでなく横断的な知識が求められるからといったことが考えられます。
プロフェッショナルデジタルスキル試験は下記3つの区分に分けられます。
| 分類 | 対象の高度試験 |
|---|---|
| マネジメント | ITストラテジスト プロジェクトマネージャ ITサービスマネージャ システム監査技術者 |
| データ・AI | データベーススペシャリスト |
| システム | システムアーキテクト ネットワークスペシャリスト エンベデッドシステムスペシャリスト ITサービスマネージャ |
ITサービスマネージャ試験はマネジメントとシステムの両方に属するようです。
また、個人的にデータベーススペシャリスト試験はシステムにも入りそうと思っていたのですが、これはデータ・AIでのみ取り扱うようです。
出題形式
試験はCBTで行われます。おそらく随時受験が可能になると思います。
出題形式は下図の通りです。
| 科目 | 試験時間 | 出題形式 | 出題数 |
|---|---|---|---|
| 科目A-1 | 90分 | 多肢選択式(四肢択一) | 60問 |
| 科目A-2 | 120分 | 多肢選択式(四肢択一) | 23問 |
| 科目B | 多肢選択式 | 12問 |
高度試験に合わせて考えるのであれば、科目A-1は午前Ⅰ、科目A-2は午前Ⅱ、科目Bは午後試験でしょう。
免除制度を設ける予定とのことですので、プロフェッショナルデジタルスキル試験のいずれかの試験に合格した人や、科目A-1を合格した人については2年間は科目A-1を免除という形になると思います。
気になるのは科目A-2と科目Bが120分の枠内でセットになっていることです。科目Bのボリュームによりますが、タイトな時間設定のように感じます。
難易度について
難易度は応用情報と高度試験の中間ぐらいと言われていましたが、試験時間や出題数を見た限りだと高度試験よりも攻略が難しいように思いました。
科目A-1は共通の知識、科目A-2と科目Bがそれぞれの区分の専門的知識となれば、学習する範囲はかなり広くなります。
私は応用情報と情報処理安全確保支援士試験に合格していますが、どちらかをもう一度受験し直せと言われたら、学習範囲がかなり広い応用情報の方が嫌です。
しかも現行の高度試験の午前Ⅰは応用情報の午前問題レベルの出題が30問だったのに対し、プロフェッショナルデジタルスキル試験の科目A-1は60問です。しっかり学習時間を確保しないといけない上に、当日は体力と集中力の勝負になりそうです。
情報処理安全確保支援試験の一部変更
高度試験が統廃合されるものの、情報処理安全確保支援士試験は情報処理技術者試験から独立した存在であるため大きな変更はないと思っていましたが、公式発表で大きな変更が報じられました。
まずCBT化されます。これによりIPAの国家試験はすべてCBT化が完了します。
そして出題形式に大きな変更があります。
| 科目 | 試験時間 | 出題形式 | 出題数 |
|---|---|---|---|
| 科目A-1 | 45分 | 多肢選択式(四肢択一) | 30問 |
| 科目A-2 | 35分 | 多肢選択式(四肢択一) | 25問 |
| 科目B | 120分 | 多肢選択式 | 12問 |
科目については午前Ⅰ、午前Ⅱ、午後に対応していると考えていいでしょう。科目A-1についてはプロフェッショナルデジタルスキル試験と同様に免除制度が用意されるかと思います。
大きな変更点は科目B(現行の午後科目)が多肢選択式になっていること。つまり記述試験ではありません。
IPAの国家試験は記述試験が難しく、それゆえに資格の価値があったと言っても過言ではありません。これにより易化するという見立てがあります。
ただ、私はそうとも限らないと考えています。選択式はまぐれで正解できるという点で簡単なのですが、多肢選択式としか書いていないので選択肢が増えますし選択数も複数選択や指定しない、さらには正解の選択肢が存在しないパターンも用意できるため、まぐれで正解することができないように工夫は可能です。
さらに記述式だと部分点がもらえたり、採点のタイミングで配点がコントロールされて思っていたよりも点数が高くなる可能性もありましたが、選択式だとそういった期待はできず、良くも悪くも試験終了時点でデジタルに合否が決まります。
データマネジメント試験の新設
データマネジメント試験はITを利活用する人向けのレベル2の試験になります。情報セキュリティマネジメントと同じポジションです。
出題形式も情報セキュリティマネジメント試験と同じで、科目Aが多肢選択式(四肢択一)48問、科目Bが多肢選択式12問を合わせて120分で回答します。
プロフェッショナルデジタルスキル試験でデータ・AIの区分ができたように、AIやデータ活用の分野を推し進めていることがわかります。
ITパスポート試験の出題構成の変更
ITパスポート試験はストラテジ、マネジメント、テクノロジの分野から出題されていたところが、ビジネス、テクノロジ、セキュリティ・倫理に再整理されます。
ストラテジとマネジメントがビジネスに集約され、AIの利活用も踏まえたセキュリティ・倫理を重点分野として位置づけたといったところでしょう。
その他にもDXで求められるマインド・スタンスや、データマネジメントの基礎に関する内容を追加されています。
ITパスポート試験はエンジニアの方には初歩的過ぎて評価されない傾向ですが、IT以外にもビジネスに必須の知識も学べることから、社会人全員が通過した方が良い試験だと私は思います。
情報セキュリティマネジメント試験と基本情報技術者試験の一部変更
この変更点については出題範囲の一部変更ということで、大きな影響はありません。
ここまでの傾向からデータマネジメントやAI活用に関する内容や、量子コンピュータに関連する内容などが追加されるのではないかと思います。
2026年度の試験について

応用情報と高度試験については2026年度が最後の試験になります。
春期に行われていた試験は前期として2026年11月頃、秋期に行われていた試験は後期として2027年2月頃に行われます。
しかもすべての試験がCBTでの実施ということで、ラストチャンスにして異例の開催方法です。
おそらくですが、2026年度に応用情報と高度試験を合格しておけば、プロフェッショナルデジタルスキル試験の科目A-1が免除になることも予想されます。
試験制度が無くなることで受験のモチベーションが下がっている方も少なからずいるかと思いますが、免除の特典も期待できますし、何より合格することでスキルの証明に変わりはありませんので、ぜひ積極的に受けることをおすすめします。
個人的にはまだ合格できていないのであれば応用情報がおすすめです。高度試験の各区分はそれらに相当するベンダー試験がありますが、応用情報のようにIT全般の幅広い知識を求める試験は他にありませんので、この機会に受験することをおすすめします。

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