Wi-Fiって便利ですよね。でも一度繋がらなくなると途端に人が不機嫌になりますよね。
僕の会社でもWi-Fiを整備していてパソコンやらタブレットやらを接続して使っているのですが、一部繋がりにくかったり不安定なところがあります。
主な原因として考えられるのは3つぐらいあって、
- APから遠くて電波が届きにくい
- 複数のAPが近くて余計な電波が多い
- 家庭向けのAPがよくない設定で存在している
こんな感じ。増設は必要なんだけど、どちらかといえば適したところに適した機器を置きたいところ。
速度よりも安定して繋がることを重視する場合、どのような点に気をつければいいか調べてまとめます。
現在の設置状況
僕の会社で使用しているAPは主にバッファロー製の法人向けAPを使用しています。
接続台数が多い事務所や広いスペースではWAPM-1266Rを設置、それ以外はWAPS-1266を設置しています。ただ、一部でバッファロー製の家庭用APを使っているところもちらほら。
家庭向けAPの欠点は同時接続台数が10台ぐらいでパンクしてしまうことと、本体自体に設定用のスイッチがついているため、勝手に設定変更されてインターネットに抜けなくなることがしばしば。
よくあるのがAPとして使用したいのにルーターモードにされたり、WAN用のポートにLANケーブルを繋いだりですね。「インターネットに繋がらない」って連絡受けてかけつけると家庭向けAPがそんな状態になっている場面に何度も出くわしています。こういう意味でも家庭向けAPを排除したい。
法人向けであれば同時接続台数にかなりの余裕があり、モードの切り替えなどの設定についてもブラウザから管理画面を開いて行うので、勝手に触られてしまう可能性も低いです。せいぜいケーブルを抜き差しするぐらいでしょうか。
WAPM-1266RとWAPS-1266の使い分け
そういうわけでWAPM-1266RとWAPS-1266を適した配置にしていこうと思うのですが、どのように使い分けるかを決めておく必要があります。
WAPM-1266RはWAPS-1266と比べて、消費電力が少し大きいのと図体がでかいということを除けば機能的に間違いありません。すべてWAPM-1266Rにしてしまいたいところですが、導入コストがWAPS-1266の倍ぐらいかかってしまいます。
なんとなく接続台数が多くて広い部屋はWAPM-1266R、それ以外はWAPS-1266という感じでこれまでやってきましたが、果たしてこれが正しいのかというのを確認していきます。
同時接続台数
まずこれは明確なスペックとして表れています。それぞれ2.4GHzと5GHz帯で上限があり、WAPM-1266Rは128台ずつ、WAPS-1266は32台ずつです。
2.4GHzと5GHz帯は同時に出すこともできますが、うちの会社では対応機器の都合上2.4GHz帯しか使用しないので128台or32台です。
さすがに128台が埋まることはないと思いますが、32台はもしかするとあり得そう。パソコン、タブレット、スマホを持った職員が10人集まったとしたらそれで30台まで到達しますからね。
そんな状況も今の会社ではレアケースなのですが、将来的に十分起こり得ることを考えると、10人以上が集まれるスペースはWAPM-1266Rを置く方が無難でしょう。
電波の届く距離は同じ?
特に気になっているのは電波の届く距離。これまではWAPM-1266Rの方がより広い範囲をカバーできると思っていたのですが、実はそうでもないかもしれないっぽいです。
まず具体的な距離に関することってスペックに記載がないんですよね。そのことについてエレコムが興味深い記事を公開していました。
改正電波法で出力上限が1000mWに引き上げられたにもかかわらず、無線LAN機器には適応されずに10mWが上限とのこと。つまり技術的には十分出力を上げられるものの去勢された状態ですので、どの無線LAN機器も上限いっぱいに設定されていて差別化ができないためスペックに表記されないとのことです。
このページは2020年時点の内容ですが、おそらく現在も状況は変わっていない様子です。つまりWAPM-1266RとWAPS-1266の出力は同じ可能性が大です。
電波の距離において重要なのはアンテナの性能や本数とのこと。いずれも「外部(External)、送受信(Tx / Rx):2 本」との記載で2×2の構成。WAPM-1266Rにはレーダー波監視用アンテナが1本ついてますが、これは航空レーダーや気象レーダーによって障害を受けるのを回避するためのものなので電波の距離には関係ありません。
WAPM-1266Rはアンテナが外付けのため、向きを自由に変えることができるのは利点ではありますが、電波の距離については同じスペックと見ていいのかもしれません。
実際に検証してみたらほとんど同じだった
ちょうどWAPM-1266RとWAPS-1266が手に入ったので電波強度を検証してみました。
順番で同じ場所に設置して、接続したPCを持って少しずつ離れていきながらモニタリングします。モニタリングにはinSSIDerを使いました。
結果としてはほとんど差はありませんでした。同じ部屋の中だと-40dBm以上。扉を2つと廊下を挟んだ別の部屋に入っても-60dBm以上ありました、両者ともこれぐらいで安定していました。
つまりアンテナの数が変わらなければ、電波の届く範囲はそんなに変わりませんね。WAPM-1266Rはアンテナの方向を変えられますが、劇的な差はありませんでした。
速度については家庭向けよりも控えめ
データ転送速度については、いずれの機種も5GHz (IEEE802.11ac) が866Mbps、2.4GHz (IEEE802.11n) が400Mbpsです。
家庭向けの機種ですと2021年発売のWi-Fi5対応機種で2.4GHzが800Mbps、2023年発売のWi-Fi6対応機種の2.4GHzで1147Mbpsと、速度だけ見れば家庭向けモデルの方が優秀です。法人向けは速度を犠牲にして管理機能などにステータスを振っているという感じですかね。
WAPS-AX4: Wi-Fi6対応の法人向けモデル
とはいえ、WAPM-1266RとWAPS-1266は2017年発売の機種です。Wi-Fi6が主流になりつつあるので新しい機種はないのかなと思い調べてみると、WAPS-AX4というのが2023年7月に発売していたようです。
見た目はWAPS-1266と似ていますので後継機種なのでしょう。型番にある通り、IEEE802.11ax (Wi-Fi6) に対応しており、2.4GHzが573Mbps、5GHzが1201Mbpsです。それでも家庭向けモデルよりは遅いですが、より次世代型を求めるならこの機種ですね。
同時接続数も2.4GHzと5GHzそれぞれで64台とちょうど良い。それでいてWAPM-1266Rを買うよりも安く買えそうな価格設定。むしろこれを買うのがベストなのかもしれません。
それでもWAPS-1266よりもコストはかかってしまいますし、ひいきにしている業者ではまだ取り扱いがないようなので、今回はWAPS-1266を買う予定ではありますが、将来的に導入したいですね。
ちなみにWAPM-1266Rの後継機種がWAPM-AX4というのが出ています。WAPM-1266RとWAPS-1266と同じような関係で、速度やアンテナ数は同じです。同時接続台数はWAPM-1266Rから据え置きです。金額は5万5千円ぐらいと結構かかります。
法人向けのメリットはRADIUS認証の環境をつくれる
家庭向けAPを排除したい理由がもう一つあり、RADIUS認証の環境をつくりたいというもの。
その件については現在協議を進めており、ある程度進捗したらこのブログでもレポートを書こうと思うので詳しい説明は割愛しますが、簡単に説明すると認証された機器だけが接続できるWi-Fiにしたいのですが、家庭向けAPではこの環境はつくれません。
RADIUS認証やらWPA2またはWPA3エンタープライズに対応していないといけないということで、WAPM-1266RとWAPS-1266は要件に満たしているっぽいです。
来年度にこの計画を実行に移すための段取りとして、まずはすべてのAPを法人向けに切り替える必要があるということです。結構コストがかかってしまうので様子を伺っていたのですが、たまたまWi-Fiが不安定な場所が出てきて環境を整える課題が発生してまさに渡りに船でした。
もしかすると予算の都合上ぽしゃりそうな気もしますが、できることをやっていこうと思います。
コメント