メールサーバーだけでは1人が使えるメール容量がかなり小さいという課題があるため、1人あたり30GBのメール容量が使えるLINE WORKSを検討しました。メールだけでなくおなじみのチャット機能も使えるのでとても便利だと思います。
ただ、メール機能を使うにはベーシックプランを契約する必要があり、1人あたり月額500円かかります。メールを多用する人はLINE WORKS、あまり頻繁に使用しない人はメールサーバーのメールと、メールサービスを使い分けてLINE WORKSにかかるコストを下げる作戦を思いつきました。
そのためにはメールサーバーとLINE WORKSでドメインを分ける必要があるのですが、転送機能とFROM設定を行うことで使用するユーザー目線では同じドメインでメールのやり取りできるのではないかと考えて、実際にLINE WORKSに登録して実験してみました。
結論から申し上げますと、できませんでした(残念)
というわけで、ここから失敗談になるわけですが、似たような運用方法を考えていた人の道しるべになれば幸いです。
実験する条件
今回の実験は僕がこのブログを運営しているスターサーバーを例として使っています。ドメイン管理もこのスターサーバーです。
サーバーの条件としてはDNSレコードを追加・変更できること、サブドメインでの運用を考えている場合はサブドメインが登録できることが前提となります。
今回実験として登場するのは2人のユーザーです。
ユーザー名 | 使用するメール |
---|---|
user_normal | メールサーバー付帯のメール(以下「通常メール」) |
user_line | LINE WORKS |
通常メールとLINE WORKSそれぞれのメール機能を使うにはドメインを分ける必要があります。
メール | ドメイン | メールアドレス |
---|---|---|
通常メール | iehohs.com | user_normal@iehohs.com |
LINE WORKS | ln.iehohs.com | user_line@ln.iehohs.com |
ドメインを分けますと、当然メールアドレスの@の後ろが異なります。これだと使うメールを移行する度にメールアドレス変更の周知をする必要があるという問題が発生します。
そこで、
- user_line@ln.iehohs.com
- user_line@iehohs.com
と対になるメールアドレスを作成し、②に届いたメールは①に転送され、①から送信する時はFROM設定で表示するメールアドレスを②に変えられたら、周知するメールアドレスは②だけでよくなるのではないかという考えです。
これで実際に運用可能なのかという実験です。
LINE WORKSのベーシックプランを契約
LINE WORKSに登録してプラン変更します。
ベーシックプランへ引き上げる際、早速使用するドメインの確認が行われます。ドメインの準備ができていないとそもそもプラン変更から先に進めないようですね。
使用するドメインを入力後、MXレコードを追加して権限を確認する段取りに入ります。
スターサーバー側での操作
使用するドメインを準備します。スターサーバーでサブドメインを追加しました。
ln.iehohs.comというサブドメインを作りました。
次にDNSサーバーにMXレコードを追加します。これも設定方法がLINE WORKSの画面で出てきているのでその通り入力します。
1番上がiehohs.comのメールで、その下3つはこのブログですね。
ln.iehohs.comのMXレコードが2つあるのは障害時などの予備でプライマリとセカンダリサーバーを分けているようです。
MXレコードが追加できたらLINE WORKS側の画面を進めて認証が行われます。
余談ですが、参照先に優先度がつけられるというのに着目して、ln.iehohs.comにアカウントが見つからなければiehohs.comへ見に行くといった方法でいけるのではにかと思いつきましたが、セカンダリへ見に行くのはプライマリで障害があった場合であってアカウントの有無で判定はできないとのことでした。
追記:この余談について
MXレコードの優先順位と、アカウントの有無でメールを受け取るサーバーを分けるというこの余談について、これはウェブサーバーのサポートの回答だったのですが、こんな記事を見つけました。
従業員の一部だけ別のメールサーバーを使わせたい!Microsoft365/GoogleWorkspace導入でも役立つ「複数メールサーバ」設定方法について
僕が考えていたことと全く同じことが書かれていました。実はいけるのかなぁ。
と、思ったので同じドメインでDNSのMXレコードの優先度を調整してやってみたのですが、やはりアカウントの有無は関係なしに最も優先度の高いサーバーに見に行くため、この方法での運用は無理だとわかりました。
メールアドレスを準備する
スターサーバー側でメールアドレスを作成します。
user_normal@iehohs.comと、user_line@iehohs.comを作成します。user_normalの方は通常メールを使用するためのメールアドレスです。
user_lineの方は、届いたメールをuser_line@ln.iehohs.comに転送するためだけのユーザーです。
これで先方はuser_line@iehohs.comのメールアドレスを知っていれば、user_line@ln.iehohs.comにメールを送ることができます。
LINE WORKS側のメール設定
LINE WORKSのメンバーを追加します。IDをuser_lineに設定します。これがメールアドレスになります。
user_line@iehohs.comでメールが届いても、LINE WORKSから送られてきたメールの送信者はuser_line@ln.iehohs.comなので相手を混乱させてしまいます。
そこでFromのアドレスをuser_line@iehohs.comに設定します。
これで準備ができました。
結果:うまくいきませんでした
では送ってみましょう。ついでに通常メールも無事使えるかも確かめたいのでuser_normal@iehohs.comに送ります。
その結果……
ダメでした\(^o^)/
ここの表示はメールソフトにもよるのでしょうが、発信者の表示名は変えられてもメールアドレスを完全に別物として見せかけるのは無理なようです。
冷静に考えてみればそれができればなりすましメール送り放題ですもんね。
送られてきたメールに返信したらちゃんと転送されて届きました。なんか警告メッセージが邪魔ですが。
つまり、「user_line@iehohs.comに送ってくれ。ただ、オレから送るメールの発信者はuser_line@ln.iehohs.comになってるけど気にしないでくれよな」と説明すれば運用可能です。めんどくさいですね。
実はこの手の運用方法はGmailならば可能なようです。それを知っていたのでLINE WORKSでもできるのではないかと思ったのですが、メールサービスによって仕様はさまざまなんですね。
とりあえずLINE WORKSは「この使い方できたら助かるんだけどなぁ……」と言い残して解約のボタンを押しましたとさ。
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