突発性難聴になった話

情シスのこととは全然関係ないのですが、自分のキャリアに大きな影響を与えかねない出来事だったので記録しておきます。

タイトルにある通り突発性難聴になりました。治療の甲斐あって完治しましたが、一時は右耳が全く聞こえなくなりました。

同じように突発性難聴になった人や、その疑いがある人の一助になればと思い、発症から書いていた日記を要約します。

発症から治療開始まで

発症

発症は起床時からでした。右耳がこもった感じで、これを耳閉感というらしいです。音は聞こえるけど少し変という感じですね。

実はその前日の夕方から左耳で同じような症状が出ていました。寝たら治るかなと思ったら逆の耳に変わってました。

この時点では全然警戒心がありませんでした。というのも、その少し前に妻も同じような耳のこもった症状を訴えていて、受診したら副鼻腔炎による影響と言われていたからです。同じのになったなぁと思っていました。

ただ、その日の内に症状が進み、夜にはほとんど聞こえない状態になっていました。この時点で少しまずいぞと思ったのですが、運が悪いことに週末で病院の予約が取れなかったので休み明けとなる3日後に行くことに。

その間に改善される様子はなく、例えば右耳の近くでスマホから音楽を鳴らすと、左側から聞こえてくるという状態。右耳の聴力はほとんどなくて、すべて左耳が音を拾っているという状態でした。

病院受診

発症4日目の夕方に耳鼻科を受診しました。

そこで聴力検査と鼓膜の状態を確認され、右耳に顕著な難聴があり突発性難聴と診断されました。

症状が軽かったら飲み薬で治療が可能なものの、かなり症状が進んでしまっているためすぐに点滴治療をしないといけないということで、治療を受けられる病院に紹介状を書くから翌日の朝一で行きなさいと言われ、とりあえず薬をもらって帰ってきました。

そして翌朝に紹介してもらった病院に行き再度聴力検査し、前日の検査とほぼ同じ結果ということで点滴治療となりました。

ただ、この点滴治療がステロイドを8日間連日で点滴するというもので、ここから仕事は半休を取らざるを得ない状況になりました。逆にステロイドは副作用が大きいので期間を決めたらそれ以上延長するはないそうです。

ステロイドを点滴したからと言って劇的には症状は変わりませんが、翌日はこれまで右耳の近くで指パッチンして聞こえるかどうかを指標にしていまして、全く聞こえなかったのがかなり音は遠いながらも聞こえるようになりました。あとは耳の穴に指を入れても全く無音だったのがゴソゴソと小さく音はするようになりました。

難聴の状態

右耳は全く聞こえないのですが、左耳で音は聞き取れるので家での生活にはあまり影響がありませんでした。

ただ、人混みとか賑やかなところだと右側から話しかけられるとまったく聞こえませんでした。

また、静かな個室で対面2人と話している時、書類に目を落としながら話を聴いていて、左の人が話しているのだと思って顔を上げたら右の人が話していたといったことがあり、やはり片耳が聞こえないと不便ですね。

高気圧酸素治療の開始

点滴治療2日目の受診時に、そこで医師から難聴が顕著なので点滴治療と並行して高気圧酸素治療をすすめられました。

高気圧酸素治療は酸素カプセルみたいなところに入って、気圧を上げることで高濃度の酸素を摂取するという治療です。副作用がないので回数をやっても体に負担は少ないです。

ただし、保険適用で1回9,000円程で15回行うということで、費用負担がかなり大きいのがデメリット。それでいて確実に治るという保証はなく、効果がある人はあるし、ない人は全然ないという説明を受けました。

さらに副作用はないものの気圧を上げるため飛行機の高度が変わったとくに生じるような耳の痛みがあり、耳抜きがうまくできないと痛みが取れなかったり、かえって内耳にダメージを与えてしまうリスクもあると説明を受けました。

発症から10日以内で、なるべく早く開始した方がいいということで、一旦家に持ち帰った上で翌日から受けることになりました。

高気圧酸素治療の流れ

高気圧酸素治療を行う際、毎回検温と血圧測定を行います。体調が悪い状態だと高濃度の酸素を吸うことで酸素中毒になる場合があるためらしいです。

バイタルを測って異常がなければ病衣に着替えます。病衣の下は下着のみ着用できますが、下着も可能であれば綿100%がいいとか。

というのも、酸素濃度が高い場所に入るため燃えやすいものはご法度。湿布や貼るカイロは入念にチェックされます。あと指輪もカプセルのアクリル壁を傷つけたり、金属同士がぶつかるとスパークして発火する危険があるため外す必要があります。

カプセルに入ったら20分かけて加圧を行い、加圧が終わったらそのまま60分間カプセルの中で過ごし、20分かけて減圧して終了です。スマホの持ち込みは禁止で、暇つぶしはテレビを見ることだけが許されます。

加圧と減圧のときに耳痛が発生しやすく、僕は飛行機に乗るたびに耳の痛みが出るのでとても不安でしたがその不安は的中し、決まって左耳に耳痛が発生しました。

耳痛が発生した時は技師さんにその旨を伝え、一旦加圧・減圧を止めて耳痛がなくなるのを待って再開します。僕は加圧の時に決まって健側である左耳に痛みが出まして、治療9日目までは毎回痛みが出てきて苦痛でした。

加圧と減圧は慣れてきたら時間を短縮できるのですが、耳痛が怖くて時間は短縮せずに毎回フルタイムでやってました。

加圧が終わればあとは楽なのですが、とにかく暇です。テレビは見られますが昼間にやってるテレビなんておもしろくないですからね。寝ててもいいと言われましたが、酸素マスクをつけていると大きな呼吸がしにくく、苦しくなって起きちゃうんです。

暇なだけならいいのですが、閉所恐怖症の人は苦痛がかなり大きいでしょう。僕は平気なのですが、身動きがあまり取れないのはストレスですね。身長180cmの僕でジャストぐらいのスペースなのでこれ以上身長高い人は膝を曲げないといけなさそうなのと、体格が大きい人は窮屈そうですね。あと腰痛がひどい人だと長時間ずっと仰向けってきつそうです。

治療の効果

高気圧酸素治療をやったからといって劇的に治るわけではありません。

始めて3日目ぐらいで大きな音はノイズに変わるものの感じることはできるようになってきていました。

5日目の治療の前に聴力検査を実施したところ、初診時は平均82.5db(高度難聴といわれるレベル)だったのが48db(中度難聴といわれるレベル)にまで回復はしていたのですが、感覚としては聞こえづらさは7日目ぐらいまでは変わりなく、なかなか良くならないのでこの難聴と付き合っていくことを覚悟し始めてました。

8日目でそれまで骨伝導イヤホンの音も聞こえていなかったのが聞こえるようになってきまして、この頃から回復を実感するようになってきました。

11日目で職場での聞こえがだいぶよくなってきていると実感。高気圧酸素治療14日目で聴力検査を行い、一部聞こえにくい帯域はあるものの左右差はほとんどなくなって高気圧酸素治療の終了となりました。

その1ヶ月後に再度受診して聴力検査を行い、聴力は落ちておらず左右差はほとんどなかったため、完治といってよいと言われました。

突発性難聴になって感じたこと

突発性難聴の治療はスピードが命で、発症から48時間以内に治療を開始すると完治の可能性が高いとのこと。

僕は発症から4日目と決して早くありませんでしたが、結果的には完治できたので48時間以内というのはマストではないようです。ただ、治療中はもう少し早く受診をしていたらと後悔のような感情はありましたね。

突発性難聴は本人にとってかなりの大事なのですが、外見には表れず、コミュニケーションはある程度取れてしまうから、傍目にはあまり変わりないように見えてしまって軽視されたり理解を得られないことが多いのだろうなと思いました。

これがミュージシャンやスポーツ選手、通訳といった耳を使う職業の人にとっては死活問題です。僕は片耳が聞こえなくても仕事はなんとかなりそうと楽観的でしたが、それでも生活で不便さはあったので治って本当に良かったですし、突発性難聴について啓発できたらと思ってこの投稿をしました。

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